12月に入って玄関先に何も飾っていないと、なんとなく落ち着かない気持ちになりますよね。今年は自分でしめ縄を作ってみたい、そう思って調べ始めると、稲わらなんて近所では売っていないという壁にすぐぶつかります。かといって紙紐で適当に作ったら、神様に失礼になるのではという不安もついてきます。
先に答えをお伝えします。しめ縄は稲わらが無くても作れますし、守っておきたい決まりは実質3つだけです。この記事では、材料の選び方から綯い方の手順、紙垂の折り方、左綯いや向きの決まり、飾る日と外す日、どんど焼きでの納め方まで、複数の資料を突き合わせて整理しました。
作りたいものがすでに決まっている人は、目次から必要なところだけ拾い読みしてください。順番に読めば、材料選びから片づけまで一年分の流れがつながります。
しめ縄の作り方|3つのルートと材料の選び方
しめ縄を手作りする方法には、大きく分けて3つのルートがあります。100均の紙紐で作る方法、稲わらで本式に近いものを作る方法、麻紐や水引でアレンジする方法です。稲わらでなければいけないという決まりはなく、どのルートを選んでも、しめ縄としての役割は変わりません。
3つのルートを、入手先・作りやすさ・向く用途で比較すると、次のようになります。
| 材料 | 特徴と向く用途 |
|---|---|
| 紙紐(100均) | ダイソー・セリアで手に入り、初心者でも扱いやすい。玄関や保育園・高齢者施設の製作向き |
| 稲わら | 通販が基本ルート(1kg単位、青刈り藁)。本式に近い仕上がりで、神棚や地域の当番向き |
| 麻紐・水引 | ホームセンターや手芸店で入手できる。上品で華やかな仕上がりで、来客の目に触れる玄関向き |
しめ縄用の稲わらは、稲穂が実る前に刈り取る「青刈り藁」という種類が主に流通しています。ホームセンターの園芸コーナーを探しても見つからないことが多いのは、扱っている窓口が通販に偏っているためです。

紙紐・稲わら・麻|作りたいものから選ぶ材料
3つのルートを分ける決め手は、準備にかけられる時間です。紙紐はダイソーやセリアで今日買ってきて、その日のうちに1本綯い上げられます。稲わらは前述のとおり通販での取り寄せが基本ルートなので、届くまでの日数に加えて、霧吹きで湿らせて木づちで叩く下準備の時間も見込んでおく必要があります。麻紐や水引はホームセンターや手芸店で当日そろうぶん稲わらほど日数はかかりませんが、紙紐より本数をそろえる手間が増えます。今すぐ手を動かしたいなら紙紐、1週間ほど前から準備できるなら稲わらというように、手元の時間で選ぶと決めやすくなります。どれか1つに決めきれない場合は、まず紙紐で1本作ってみて、翌年に稲わらへ挑戦するという進め方もできます。
しめ縄作りに必要な道具
必要な道具は、材料が変わってもそれほど大きくは変わりません。
- はさみ
- 留め用の針金または麻紐
- グルーガンまたは木工用ボンド
- 稲わらを使う場合は霧吹きと木づち
▼【商品リンク挿入:グルーガン】
紙垂や飾りを貼り付ける工程があるため、グルーガンがあると仕上がりが安定します。稲わらを使う場合は乾いたままだと折れやすいので、霧吹きで湿らせてから木づちで叩いて繊維を柔らかくする下準備が加わります。
材料が買える場所|100均・ホームセンター・通販
紙紐・リース土台・造花・水引・グルーガンは、ダイソーやセリアなどの100均で一通り揃います。稲わらは前述のとおり通販が基本ルートで、麻紐や上質な水引はホームセンターや手芸店の扱いになります。
稲わらは 楽天市場のしめ縄用の稲わら で束のまま売られています。長さと本数が書かれた商品ページを選ぶと、作りたい太さから必要な量を逆算できます。
簡単なしめ縄の作り方|100均の紙紐で作る手順
紙紐を使えば、初めてでも1本のしめ縄を綯い上げられます。工程を区切って進めれば、途中で迷うことはありません。

- 紙紐を3等分して束にする
- 束をまとめて左方向(反時計回り)にねじりながら綯い進める
- 最後まで綯い終えたら輪にして留め、紙垂や飾りを付ける
綯う動作は、束をまとめて左方向にねじりながら編み進める一続きの動きです。日用の縄はこれと逆の右方向にねじる「右綯い」で作られるため、最初の数回は左にねじる感覚を意識して手を動かしてみてください。
紙紐を3等分して束を作る下準備
紙紐を必要な長さに切りそろえ、ほぼ均等な太さになるように3つの束に分けます。束の太さが揃っていないと、綯い上がったときに縄がうねってしまいます。仕上がりを太くしたい場合は、束1つあたりの本数を増やして調整します。
左綯いで縄を綯う手順
3つの束をまとめて左方向(反時計回り)にねじりながら、端から端まで綯い進めます。ねじりが緩むとほどけやすくなるので、束がゆるんできたら手を止めてねじりを足してから先へ進めると、形が安定します。
輪にして留める仕上げと飾り付け
綯い終えた縄を輪にして、両端を針金や麻紐でしっかり固定します。継ぎ目はグルーガンで裏側から留めると目立ちません。
紙垂や造花、水引を組み合わせると一気に華やかになります。飾りは輪の正面、綯い始めのやや太い側に寄せて配置するのが定番の形です。
子どもと作るときの安全な進め方
保育園や自宅で子どもと一緒に作る場合は、グルーガンの高温部分を大人が扱い、子どもには紙紐をねじる工程を任せると、無理なく分担できます。高齢者施設での製作でも同じ考え方で、力の要る綯う工程と貼り付けの工程を分けて進めると、全員が参加しやすくなります。
つむぎ所長紙紐なら失敗してもほどいてやり直せるので、練習用にもちょうどいいんですよね。最初の1本が不格好でも、それはそれで味だと思います
稲わらで作る本式のしめ縄の作り方
稲わらを使うと、神社で見かけるような本式に近い仕上がりになります。ここでは3つの形の作り方を扱います。

稲わらの下準備|袴取りと湿らせる工程
稲わらは、根元近くの葉(袴)を取り除いてから使います。乾いた稲わらは折れやすいため、霧吹きでまんべんなく湿らせ、木づちで軽く叩いて繊維をほぐしておきます。この下準備を丁寧に行うほど、綯うときに扱いやすくなります。
ごぼう注連(牛蒡締め)の作り方
稲わらを3束に分けて綯う手順は、紙紐と同じく束をまとめて左方向にねじりながら綯い進める動きです。ごぼう注連は全体を均一な太さで綯い上げる、細長い牛蒡のような形が特徴です。玄関の上部に横向きに掛けるのが一般的な使い方です。
大根注連(大根締め)の作り方
大根注連は、綯い始めの部分を太く、綯い終わりに向かって細くする形です。太い部分をひときわ強調したいときに向いています。束を綯う途中で藁の量を少しずつ減らしていくことで、この太さの変化を作ります。
輪飾り(輪じめ)の作り方
輪飾りは、短く綯った縄を輪にして、そこに紙垂や譲り葉、橙を添える簡易な形です。玄関のドアやミニサイズの飾りに向いていて、稲わらの量も少なく済みます。
しめ縄に付ける紙垂の作り方と枚数
紙垂は、半紙でもA4のコピー用紙でも作れます。手元にある紙とはさみで十分です。

紙垂の裁ち方と折り方|吉田流の手順
涌谷神社・黄金山神社の紙垂解説(2026-08-10確認)によると、半紙(またはA4のコピー用紙)を同じ大きさに4等分し、そのうち1枚を縦半分に折ります。折ったままの状態で縦に4等分の折り目を付けると、紙の中に3本の折り線ができます。この3本のうち両端の2本には上から3分の2ほどの深さまで、真ん中の1本には下から3分の2ほどの深さまで、互い違いになるようはさみで切り込みを入れます。
切り込みを入れたら、折り目のある端を頭にして、残りの3片を1枚ずつ手前側へ折り返していきます。すべて折り終えたら、頭の部分を小さく2回ほど折り曲げて形を整えると、吉田流の紙垂が1枚できあがります。特別な道具を買い足す必要が無く、はさみと紙だけで完結します。
白川流・伊勢流との折り方の違い
白川流は、折り目を手前と奥に交互に折る点が吉田流と異なります。伊勢流はさらに形そのものが異なり、他の2流とは見た目の印象が変わります。どの流派で折っても紙垂としての役割は変わらないので、手元にある折り方の説明を1つ選んで進めれば形になります。
紙垂を付ける位置と枚数の考え方
紙垂は縄に等間隔で挟み込むように付けます。垂らす数によって二垂・三垂・四垂と呼び名が変わり、この数え方は、しめ縄の別表記である「七五三縄」の由来にもなっています。
しめの子(房)の作り方と本数
しめの子は、縄から垂れ下がる房飾りです。稲わらや紙紐を数本まとめて垂らすだけで作れます。本数を左右で変えて表情を出すか、揃えてすっきり見せるかは、好みで選べます。
しめ縄の作り方の決まり|左綯いにする理由
しめ縄の作り方には、守っておきたい決まりが3つあります。綯う向き、太い方の位置、垂らす本数です。
日用の縄と逆に綯う左綯いの意味
日用の縄は右方向(時計回り)にねじる右綯いで作られるのに対し、神事で使うしめ縄は左方向(反時計回り)にねじる左綯いで作ります。先ほど説明した、束をまとめて左にねじりながら綯い進める動きが、この左綯いにあたります。
太い方を右にする向きと、出雲大社の例外
しめ縄の太い方を「綯い始め」、細い方を「綯い終わり」と呼びます。向かって右側に太い方を置くのが一般的な向きです。ただし出雲大社では、これと逆の向きに掛けられています。地域や神社によって向きが異なるのは、間違いではなく伝わり方の違いです。
藁を7本・5本・3本垂らす形の意味
藁を7本・5本・3本と垂らす形は、しめ縄の呼び名の1つである「七五三縄」の由来にもなっています。この本数そのものに厳密な決まりがあるわけではなく、地域や作り手によって幅があります。
しめ縄と七五三縄の違い|5つの表記が生まれた理由
「注連縄」「七五三縄」「標縄」「〆縄」「占縄」は、いずれも同じものを指す表記の違いです。指しているものは同じで、作り方も変わりません。
注連縄・七五三縄・標縄・〆縄・占縄の表記比較
5つの表記を、読みと由来とされる説で比べると次のようになります。
- 注連縄:清めた縄を垂らす風習に由来するという説
- 七五三縄:藁を7・5・3本垂らす形に由来するという説
- 標縄:神域と俗世の境界を示す目印に由来するという説
- 占縄:その場所を神が占有することを示すという説
- 〆縄:「しめ」を表す略字「〆」を当てた表記
いずれの由来も【伝承・諸説】として並んで伝わっているものです。天岩戸神話に登場する「尻久米縄」という縄が、しめ縄の原型として語られることもあります。
呼び名による作り方の違い
地域や資料によって使われる文字が異なるだけで、綯い方も飾る場面も共通しています。表記の違いは文字だけの話です。
手作りしめ縄を飾る時期|28日までに飾る理由
しめ縄を飾り始める目安は12月13日の事始め以降で、12月28日までに飾るのが一般的です。

避けたい29日と31日|二重苦と一夜飾り
12月29日は「九」が「苦」に通じることから、二重苦・苦立てとして避けられてきました。31日は一夜飾りと呼ばれ、年神様を迎える準備が一晩だけでは慌ただしいとして避けられています。
飾る場所と向き|玄関と神棚
しめ縄を飾る場所は、玄関の外側(門やドア)と神棚が中心です。玄関には結界としての意味合いがあり、神棚には年神様をお迎えする場所としての意味合いがあります。神棚そのものの選び方や土台作りは、100均の神棚完全ガイドで扱っているので、あわせて読んでみてください。
手作りしめ縄を外す時期と処分方法
しめ縄を外す時期は地域で差がありますが、外す時間帯そのものに決まりはありません。
松の内はいつまで|関東と関西の違い
松の内は、関東・東北・九州などが1月7日まで、関西は1月15日(小正月)までが一般的です。松の内という期間そのものが地域ごとに定着している慣習のため、住んでいる地域の一般的な日にちに合わせておけば十分です。
「外すのは午前中でなければいけないのか」という点については、時間帯を定めた決まりは見当たりません(2026-08-10確認)。松の内が明けた日であれば、朝でなくても、自分の都合のよい時間に外せます。
どんど焼きに出すときの注意点
外したしめ縄は、小正月(1月15日)前後に行われる「どんど焼き」で納めます。地域によって左義長・とんど・鬼火たきなどと呼び名が変わりますが、行っていることは同じ火祭りです。
神社に持ち込めないときの納め方
近所でどんど焼きが行われていない場合は、しめ縄を塩で清めて紙に包み、自治体のごみの分別ルールに従って納める方法があります。神社の古札納所が年間を通じて開いていることもあるので、近隣の神社に確認してみるのも1つの手です。
しめ縄の作り方まとめ|最初の1本の選び方
しめ縄は、紙紐・稲わら・麻や水引、どれで作っても、しめ縄としての役割は同じです。初めての1本なら紙紐、本式に近づけたいなら稲わら、上品な仕上がりを目指すなら麻や水引と、目的で選べば十分です。
守っておきたい決まりは、左綯いで綯うこと、太い方を右に置くこと(地域差はあります)、そして12月28日までに飾ることの3つです。あとは紙垂を添え、松の内が明けたらどんど焼きで納めれば、一年分の流れがひとつながりになります。

※この記事の情報は2026年9月時点のものです。
