神棚の前でスマホを開いたら、「はらへ」と「はらえ」、「まをす」と「もうす」。サイトごとに読みが違って、どれを声に出せばいいのか手が止まる。
祓詞(はらえことば)は、漢字で88字、ひらがなで約125字の短い祝詞です。声に出すなら、現代仮名遣いの読みにそろえると迷いません。
- 祓詞は漢字で88字、ひらがなで約125字の短い祝詞
- 声に出す読みは、現代仮名遣い(はらえ・たまい・もうす)にそろえる
- 唱えるのは毎朝、お供えのあとの二拝のすぐあとに1回
- 神棚拝詞も唱えるなら祓詞のあと。締めは二拝二拍手一拝
- 約800字の大祓詞は別の祝詞。6月と12月の大祓に合わせて唱える
このページに入れたのは、ひらがな全文(仮名遣い2通り)、句ごとの現代語訳、いつどう唱えるか、「危険」と言われる話、大祓詞との違いです。
祓詞の字句は、神社庁の掲載と公的な文書を1字ずつ突き合わせました。唱え方は、神社庁の案内を土台に、毎朝1回の形にしました。
読み終えるころには、明日の朝、神棚の前で迷わず1回読めます。
祓詞のひらがな全文と読み方
祓詞のひらがな全文は、次の約125字です。声に出すときは、現代仮名遣いの読みにそろえます。
かけまくもかしこき いざなぎのおおかみ
つくしのひむかのたちばなのおどのあわぎはらに
みそぎはらえたまいしときに なりませるはらえどのおおかみたち
もろもろのまがごとつみけがれ あらむをば
はらえたまいきよめたまえと もうすことをきこしめせと
かしこみかしこみももうす
読みでつまずきやすいのは、小戸(おど)・阿波岐原(あわぎはら)・生り坐せる(なりませる)・禍事(まがごと)の4か所です。
| 漢字 | ひらがな(声に出す読み) | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 | かけまくもかしこき いざなぎのおおかみ | 伊邪那岐は「いざなぎ」。「ぎ」は濁る |
| 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に | つくしのひむかのたちばなのおどのあわぎはらに | 小戸は「おど」、阿波岐原は「あわぎはら」 |
| 禊ぎ祓へ給ひし時に | みそぎはらえたまいしときに | 祓へは「はらえ」、給ひは「たまい」 |
| 生り坐せる祓戸の大神等 | なりませるはらえどのおおかみたち | 生り坐せるは「なりませる」、等は「たち」 |
| 諸々の禍事・罪・穢 有らむをば | もろもろのまがごとつみけがれ あらむをば | 禍事は「まがごと」。有らむは「あらん」にせず「あらむ」 |
| 祓へ給ひ清め給へと | はらえたまいきよめたまえと | 給へは「たまえ」 |
| 白すことを聞こし召せと | もうすことをきこしめせと | 白すは「もうす」、聞こし召せは「きこしめせ」 |
| 恐み恐みも白す | かしこみかしこみももうす | 「かしこみ」を2回。最後は「も」+「もうす」 |
祓詞の漢字の全文
祓詞の漢字の全文は、仮名交じり文で次のとおりです。
掛けまくも畏き 伊邪那岐大神
筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に
禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる祓戸の大神等
諸々の禍事・罪・穢 有らむをば
祓へ給ひ清め給へと 白すことを聞こし召せと
恐み恐みも白す
Wikisourceに載る「神社本庁作文」の仮名交じり文です。宣命書きの原文では、結びが「恐美恐美母白須」の形で書かれています。
歴史的仮名遣いと現代仮名遣いはどっちで読む?
声に出すなら、現代仮名遣いの読みです。右の段をそのまま読みます。同じ祓詞が3通りの書き方で載っていて、私も最初は迷いました。
| 歴史的仮名遣いの読み | 声に出す読み |
|---|---|
| かけまくもかしこき いざなぎのおほかみ | かけまくもかしこき いざなぎのおおかみ |
| つくしのひむかのたちばなのをどのあはぎはらに | つくしのひむかのたちばなのおどのあわぎはらに |
| みそぎはらへたまひしときに | みそぎはらえたまいしときに |
| なりませるはらへどのおほかみたち | なりませるはらえどのおおかみたち |
| もろもろのまがごとつみけがれ あらむをば | もろもろのまがごとつみけがれ あらむをば |
| はらへたまひきよめたまへと | はらえたまいきよめたまえと |
| まをすことをきこしめせと | もうすことをきこしめせと |
| かしこみかしこみもまをす | かしこみかしこみももうす |
北海道神社庁の読み下しは、歴史的仮名遣い(「あはぎはら」「きよめたまへと」など)が混ざり、「たちはな」の誤植もあります。
右の段は、Wikisourceの読みを縁ノ研が現代仮名遣いに直したものです。
「あわぎはら」も、「あはぎはら」を直した書き方です。
「白す」は「もうす」と「まをす」のどっち?
「白す」は「もうす」で読みます。一般向けに載せられている読み下しが「もうす」で、神棚拝詞の結びも「かしこみかしこみももうす」だからです。
歴史的仮名遣いの読みは「まをす」ですが、同じ言葉の読み分けです。全部の「白す」を「もうす」で通せば、読みが揺れません。
サイトごとに字が違うときはどれを使う?
この記事は、漢字の全文に載せた字にそろえます。字の違いは読みに出ないので、ひらがなで読むなら食い違いません。
| この記事の字 | 別の版の字 |
|---|---|
| 禊ぎ祓へ給ひし時に | 御禊祓へ給ひし時に |
| 白すことを聞こし召せと | 白す事を 聞こし食せと |
別の版は、北海道神社庁の掲載です。同じ案内に「神社神道は本来氏神信仰ですから神社や地域により違いがあります」とあります。
氏神様の神社が決まった版を使っているなら、社務所で聞いて、その字にそろえてください。
つむぎ所長2つを並べて、同じ祓詞なのに字も読みも違うのに驚きました
祓詞の現代語訳と意味
祓詞の現代語訳は、「伊邪那岐大神が禊をなさったときに生まれた祓戸の大神たちに、罪や穢れを祓い清めてくださいとお願いする」という意味です。
北海道神社庁の大意も同じ筋です。祓戸の大神等の御神徳で、私たちの犯した罪や心身の穢れを祓い清めてください、と申し上げます。
句ごとの現代語訳
句ごとに並べると、何を言っているのかが見えてきます。
| 原文の句 | 現代語訳 |
|---|---|
| 掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 | 言葉に出し心にかけて申し上げることも恐れ多い、伊邪那岐大神が |
| 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に | 筑紫の国の日向の橘の小戸の阿波岐原という浜辺で |
| 禊ぎ祓へ給ひし時に | 水につかって身を清め、禊をなさったときに |
| 生り坐せる祓戸の大神等 | お生まれになった祓戸の大神たち |
| 諸々の禍事・罪・穢 有らむをば | 私たちの犯した罪や心身の穢れ、さまざまの禍事があるのを |
| 祓へ給ひ清め給へと | 祓い清めてくださいと |
| 白すことを聞こし召せと | 申し上げることを、お聞きください |
| 恐み恐みも白す | 恐れ畏んで(謹んで)申し上げます |
祓詞の中に、個人の願い事(仕事・健康など)を言う句はありません。
願いは、罪穢を祓い清めてもらうことだけです。調べていて、私はここに一番驚きました。願い事は、祓詞を読み終えたあとに別で言います。
句の切れ目は意味のまとまりでもあるので、息継ぎもここでします。覚えるときの区切りは、覚えていないときの読み方で使います。
「かしこみかしこみも白す」の意味
「かしこみかしこみも白す」は、「恐れ畏んで(謹んで)申し上げます」という意味の結びです。
同じ案内は、同じ結びで終わる神棚拝詞の現代語訳を「恐れ畏んで(謹んで)申し上げます」としています。
「かしこみ」の書き方の違いや意味は、かしこみかしこみの意味と書き方の記事で一語ずつ分けています。
祓戸の大神等はどんな神様?
祓戸の大神等は、伊邪那岐大神が阿波岐原で禊をしたときに生まれた、罪や穢れを祓う神々です。
きっかけは、伊邪那岐大神が黄泉国(死者の住む国)を訪ねて身が穢れたこと。水につかって身を清めた、その禊の場で生まれました。
祓詞は、自分で祓うのではなく、この神々の御神徳で祓い清めてくださいとお願いする形です。
祓詞の唱え方と唱える場面
祓詞は、毎朝神棚にお供えをしたあと、二拝してから1回唱え、二拝二拍手一拝で締めます。
神棚の前での唱え方
神棚の前では、祓詞を1回唱えてから、神棚拝詞や願い事に進みます。
- お供え(米・塩・水)をととのえる
- 軽く一礼して、二拝する
- 祓詞を1回唱える
- 神棚拝詞も唱えるなら、続けて唱える
- 願い事があれば、ここで言う
- 二拝二拍手一拝をする
- 軽く一礼して下がる
東京都神社庁は、神棚拝詞を奏上するときは、奏上前に二拝、奏上後に二拝二拍手一拝としています。
祓詞は、神棚拝詞の前の二拝のすぐあとに唱えます。神棚拝詞や願い事は、そのあとです。
神社の祭典でも、神さまをお招きする前に、まず神職が祓詞を奏上して罪穢を祓い清めてもらいます(修祓)。祓ってから挨拶、の順です。
二拝は、深く90度に体を折る礼を2回くり返します。
祓詞はいつ唱える?
祓詞は、毎朝、お供えをしたあとに1回唱えます。
東京都神社庁は、毎日のお祭りを欠かさないこと、毎朝お供えをすることを案内しています。祓詞は、そのお供えのあとに置きます。
回数は1回です。何度も重ねるより、毎朝同じ形で続けるほうが長続きするからです。
神社の拝殿で唱えるときは?
神社の拝殿の前では、祓詞の全文は唱えず、短い唱えことばにします。二拍手のあとの祈念のところで、小さな声で唱えます。
祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え
神社本庁が、神社に参拝するときや神棚を拝むときに「唱える場合もあります」と紹介している言葉です。
後ろに人が並ぶ拝殿では、短い唱えことばが場に合います。声は小さくします。
意味は、お祓いください、お清めください、神さまのお力によりお守りください、幸せにしてください。
ご祈祷で祓詞を聞くときの姿勢
神社でお祓いを受けるときは、頭を下げたまま、神職が奏上する祓詞を聞きます。
東京都神社庁のQ&A(修祓)によると、祭典では神職がまず祓詞を奏上し、参列者は全員、頭を下げたままお祓いを受けます。大麻は左・右・左と振られます。
唱えるのは神職です。ご祈祷で祓詞を聞くときも、この姿勢にそろえます。
覚えていないときの読み方
覚えていないときは、このページの全文を印刷して、見ながら読みます。
祓詞は、神様を拝礼する際に唱える詞をまとめた冊子『神拝詞』の7つに入っています。読むための冊子がある詞なので、明日の朝から紙を見て読めます。
覚えるなら、句ごとの表を4つのかたまりに分けます。
- だれが:掛けまくも畏き 伊邪那岐大神
- いつどこで:阿波岐原で禊ぎ祓へ給ひし時に
- 生まれた神:生り坐せる祓戸の大神等
- お願い:諸々の禍事から結びまで
お願いの段は、祓詞の中心です。ここを先に口に入れて、前の3つを足していきます。
つむぎ所長全文を一度に覚えようとしないで、4つのかたまりの1つずつで進めてください
祓詞は危険?毎日唱えるとどうなる?
祓詞は危険ではありません。
神社庁の案内では、祓詞は、神職が祭典のはじめに奏上する祝詞です。『神拝詞』でも、祓詞は「お祓いの際に唱える詞」と説明されています。
「危険」と言われる話は、よく挙がるのがこの3つです。どれも、公式の案内にも祓詞の字句にも載っていない噂です。唱えるなら、右の列のとおりにします。
| よく言われること | じゃあどうする |
|---|---|
| 夜に唱えてはいけない | 朝の神拝で唱える |
| 怖い夢を見る、体調が悪くなる | 体調の悪い日は、全文を読まず唱えことばだけ |
| 浄化が強すぎる | 祓詞は88字の短い祝詞。毎朝1回にそろえる |
夜に唱えてはいけない?
唱えるのは、夜ではなく朝にします。
神社庁の案内は、毎日のお祭りを欠かさないこと、お供えは毎朝とすることです。
朝に唱えておけば、夜を避ける話とも食い違いません。
毎日唱えるとどうなる?
毎日唱えるなら、朝1回です。毎朝1回、同じ形で唱えると、一日の始まりの区切りになります。
祓詞は、「神々の力によってさまざまの罪穢を祓い清めてもらうための祝詞」です。祓うのは大神たちで、唱える側は、お願いを毎朝申し上げます。
唱えて体や運に特別なことが起きると約束する話ではありません。毎朝の区切りとして、静かにお願いを申し上げる時間になります。
唱え間違えたら?
間違えた句の頭に戻って、最後まで読み直します。読み終えたら、二拝二拍手一拝です。
間違えたまま終えてしまった日は、翌朝、最初からもう一度唱えます。
体調が悪い日は?
体調の悪い日は、全文を読まず、神棚に二拝二拍手一拝をして、唱えことばだけにします。
具合が悪いときは、読み切ることより休むことが先です。不調が続くなら、医療機関に相談してください。
天津祝詞の「危険」の話は、天津祝詞は唱えてはいけないのかにまとめてあります。
祓詞と大祓詞・祝詞の違い
祓詞は「掛けまくも畏き」で始まる88字の短い祝詞で、大祓詞は「高天原に神留り坐す」で始まる約800字の長い祝詞です。
祓詞は毎朝の神棚、大祓詞は6月と12月の大祓に合わせて唱えます。
| 祓詞に近い4つ | 長さ・始まりの言葉・場面 |
|---|---|
| 祓詞 | 88字 掛けまくも畏き 毎朝の神棚、祭典のはじめ |
| 大祓詞 | 約800字 高天原に神留り坐す 6月と12月の大祓 |
| 天津祝詞(正式名は禊祓詞) | 高天原に神留り坐す 全文は別の記事 |
| 唱えことば | 祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え 拝殿の前、時間のない朝 |
4つを長さ・始まりの言葉・場面でそろえると、使い分けは次の図のとおりです。

祓詞と大祓詞の見分け方
見分けるいちばん早い目印は、最初の言葉と長さです。
探しているのが約800字のほうなら、このページの全文とは別の詞です。
祓詞は「掛けまくも畏き」で始まります。「高天原に神留り坐す」で始まって約800字なら、大祓詞です。
結びも違います。祓詞は「恐み恐みも白す」、例文の大祓詞は「聞こし食せと白す」で終わります。
大祓詞は『延喜式』巻八に「六月晦大祓」の名で載ります。國學院大學の資料館は、中臣祓とおおむね同文としています。
祓詞と祝詞の違いは?
祝詞は神さまに向けた古い日本語の言葉で、祓詞は、その中の「祓う」ための祝詞です。
『神拝詞』には7つの詞が入っています。祓詞は、その中の「お祓いの際に唱える詞」です。
神棚拝詞は、神棚の神さまに向けて拝む詞です。祓ってから、拝む。この順で使い分けます。
天津祝詞との違い
天津祝詞は、正式名を禊祓詞(みそぎはらえのことば)といい、大祓詞と同じ「高天原に神留り坐す」で始まります。
始まりが同じなので、長さと場面で見分けます。毎朝の神棚に使う短い祓詞とは別です。全文は、天津祝詞の全文ひらがなの記事にあります。
最強の祓い言葉は?
祓いのための詞を1つ選ぶなら、祓詞です。
神社の祭典で、神さまをお招きする前に神職が唱えるのが祓詞だからです。
長さで強さを比べずに、毎朝続けられる長さのものを選びます。時間のない日は、唱えことばです。
祓詞のよくある質問
読者のみなさんから聞かれそうな質問を、7つ並べます。
「祝詞奏上」の読み方は?
「のりとそうじょう」と読みます。神職が神前で祝詞を声に出して読み上げることで、祭典では最初に祓詞が奏上されます。くわしくはご祈祷で祓詞を聞くときの姿勢へ。
神社本庁の祓詞を唱えるとどうなる?
罪や穢れを祓い清めてくださいと、祓戸の大神たちにお願いする祈りになります。唱えるなら、毎朝、神棚で1回です。くわしくは祓詞の現代語訳と意味へ。
略祓詞とは?
略祓詞は短く祓う略式の詞で、時間の無い日と拝殿は唱えことば、神棚の毎朝は祓詞を唱えます。くわしくは神社の拝殿で唱えるときは?へ。
大祓詞は毎日唱え続けるものですか?
毎日の神棚は祓詞にして、大祓詞は6月と12月の大祓に合わせて唱えます。大祓詞は、大祓で奏上される祝詞だからです。くわしくは祓詞と大祓詞の見分け方へ。
ひふみ祝詞は危険ですか?
危険ではなく、石上神宮は2017年のお知らせで、毎朝の朝拝神事でひふみ祓詞も奏上すると案内していました。くわしくは祓詞は危険?へ。
祓詞の音声で覚えてもいい?
聞くだけより、句ごとの表を見ながら自分の声で毎朝1回読むほうが、句の切れ目が身につきます。手本は、神社のお祓いで神職が奏上する祓詞です。くわしくは覚えていないときの読み方へ。
祓詞は紙を見ながら読んでもいい?
見ながら読みます。石上神宮も2017年のお知らせで、朝拝では『神拝詞』を見ながら奏上できると案内していました。くわしくは覚えていないときの読み方へ。
祓詞のひらがなと唱え方のまとめ
探している祓詞は、「掛けまくも畏き」で始まる88字(ひらがなで約125字)です。声に出すなら現代仮名遣いの読みで、「白す」は「もうす」にそろえます。
- 神棚で毎朝は、二拝→祓詞→二拝二拍手一拝
- 神棚拝詞も唱えるなら、祓詞のあとに
- 神社の拝殿では、唱えことば
- 6月・12月の大祓には、大祓詞
- 読み間違えたら、句の頭から読み直す
今夜のうちに、句ごとの表を印刷して神棚の脇に立てかけておくと、朝は、お供えと二拝のあと、その紙の一行目から読み始められます。





※この記事の情報は2026年10月2日時点のものです。
