八百万の神ランキング|全国の社数で見る本当の順位と神様一覧

八百万の神ランキング
  • URLをコピーしました!

アニメやゲームで神様の名前を覚えると、次に気になるのは「じゃあ、本当は誰が一番強いの?」ですよね。検索すれば「〇〇が最強!」という記事はいくらでも出てきます。ところが読み進めても、なぜその神様が一番なのかはどこにも書いていない。モヤモヤだけ残ってタブを閉じた、という人は多いはずです。

八百万の神のランキングに、公式の答えはありません。それでも、数えられるものを数えれば順位は出ます。この記事では、全国の神社に祀られている社数のTOP20、神様の名前と読み方・司るもの・祀られている神社をまとめた一覧、家系図のような相関図、そして「八百万」がそもそも何柱を指す言葉なのかまでを、出典つきで並べました。

社数は祭神データベースの集計値、由来は古事記・日本書紀・延喜式、それに本居宣長『古事記伝』にあたって確かめています。先に一つだけ言っておくと、社数の1位は天照大御神ではありませんでした。

目次

八百万の神のトップは誰か——基準別の答え

「最強」に公式の答えがないのは、そのとおりです。古事記にも日本書紀にも、神様の戦闘力を数値化した表なんてありません。ただそれは「答えが出せない」ではなく、「基準を先に決めないと答えられない」ということ。基準さえ決めれば、答えはすぐ出ます。

社数でいちばん多い神——応神天皇(10,191社)

全国の神社を集計すると、いちばん多くの神社に祀られているのは天照大御神ではなく、誉田別尊(ほんだわけのみこと・応神天皇。八幡さまとも呼ばれます)でした。社数は10,191社。2位の天照大御神(9,668社)を500社以上引き離しています。

「最強は誰?」で来た人への、いちばん最初の答えがこれです。内訳は次の章のTOP20にまとめました。

記紀でいちばん地位が高い神——天照大御神

社数では2位ですが、古事記・日本書紀の物語のなかでいちばん上に置かれているのは天照大御神です。高天原(たかまがはら・神々の世界)を統べる主宰神で、皇室の祖神。この神が天の岩戸に隠れたとたん世界が真っ暗になる、という筋書きそのものが、物語の中心にいる証拠です。

皇祖神という位置づけは記紀の記述にもとづくもので、歴史上の実在をめぐる議論にはこの記事では踏み込みません。

いちばん先に現れた神——天之御中主神

天地開闢(てんちかいびゃく・天と地が分かれた最初のとき)に、いちばん先に現れたのが天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)です。造化三神(ぞうかさんしん)と呼ばれる3柱のうちの1柱で、姿も見せず、エピソードもほとんど残っていません。

何もしていないように見えて、いちばん根っこにいる。ここがこの神のおもしろいところです。

「最強」に公式の答えがない理由

神話のなかで力比べらしい場面は、国譲りのときの建御雷神(たけみかづち)と建御名方神(たけみなかた)の対決くらいです。しかも目的は勝敗を決めることではなく、国土の統治権を移すこと。だから「最強ランキング」を名乗る記事は、書き手が自分で軸を作るしかないんです。

この記事は新しい主観の軸を足しません。数えられるものを数えて、基準ごとに答えを出します。

つむぎ所長

じゃあネットの最強ランキングは全部でたらめなの?というと、そんなことはありません。書き手が古事記や日本書紀のどの場面を面白いと思ったか、という楽しみ方の一つです。原典に根拠があるかどうかだけ見分けられれば大丈夫ですよ。

基準1位数字・根拠出典
祀られている神社の数誉田別尊(応神天皇・八幡神)10,191社祭神データベース「神社ファン」
信仰系統の広がり八幡系10,064社神社ファン 神社系統ランキング
記紀での地位天照大御神高天原の主宰神・皇祖神古事記・日本書紀
登場の古さ天之御中主神天地開闢で最初に現れた造化三神の1柱古事記 上巻
力比べの戦績建御雷神国譲りで建御名方神を降した古事記 上巻

全国の社数で見る祭神ランキングTOP20

「日本 神様ランク」「最高神一覧」で検索した人が本当に見たいのは、たぶんこの表です。人気投票ではなく、千年以上かけて各地に社が建てられてきた結果の票数だと思ってください。

祭神数ランキングTOP20

順位神名(読み)社数主な系統司るもの(ご神徳)総本社・代表的な神社
1誉田別尊
(ほんだわけのみこと)
10,191社八幡系武運・国家鎮護宇佐神宮
2天照大御神
(あまてらすおおみかみ)
9,668社伊勢・神明系太陽・皇祖神伊勢神宮内宮
3須佐之男命
(すさのおのみこと)
7,220社祇園・須佐系疫病除け・武勇八坂神社
4菅原道真
(すがわらのみちざね)
5,968社天満・天神系学問太宰府天満宮・北野天満宮
5宇迦之御魂神
(うかのみたまのかみ)
5,155社稲荷系五穀豊穣・商売繁盛伏見稲荷大社
6大山祇神
(おおやまつみのかみ)
4,631社三島・大山祇系大山祇神社・三嶋大社
7大国主神
(おおくにぬしのかみ)
4,623社出雲・大己貴系国造り・縁結び出雲大社
8伊邪那美命
(いざなみのみこと)
4,561社国生み・黄泉の国花窟神社ほか
9建御名方神
(たけみなかたのかみ)
4,280社諏訪系力・軍神諏訪大社
10伊邪那岐命
(いざなぎのみこと)
3,347社国生み多賀大社・伊弉諾神宮
11神功皇后
(じんぐうこうごう)
3,012社安産・勝運住吉大社ほか
12迦具土神
(かぐつちのかみ)
2,769社秋葉山本宮秋葉神社
13天児屋命
(あめのこやねのみこと)
2,207社祭祀・言霊春日大社
14市杵島姫命
(いちきしまひめのみこと)
2,083社財福・芸能厳島神社・宗像大社
15建御雷神
(たけみかづちのかみ)
1,983社武勇・国譲り鹿島神宮
16少名毘古那神
(すくなびこなのかみ)
1,906社医薬・温泉大洗磯前神社ほか
17豊受大御神
(とようけおおみかみ)
1,880社衣食住・産業伊勢神宮外宮
18猿田彦神
(さるたひこのかみ)
1,814社道案内・導き椿大神社
19大山咋神
(おおやまくいのかみ)
1,813社山と水日枝神社・松尾大社
20経津主神
(ふつぬしのかみ)
1,648社武勇香取神宮

社数は祭神データベース「神社ファン」の集計で、2026年7月に確認した数字です。何を数えていて何を数えていないのかは、この章の最後にそのまま書きます。

1位が応神天皇になる理由——武士が運んだ八幡信仰

調べていて驚いたのですが、社数だけで見ると天照大御神より応神天皇のほうが多く祀られています。理由は、信仰の広がり方にありました。

応神天皇を祀る八幡信仰は、宇佐神宮(大分県)を総本社として、平安時代以降は源氏をはじめとする武家の氏神になりました。武士が新しい土地を治めるたびに、そこへ八幡宮が分祀(ぶんし・神様を分けて別の場所にも祀ること)されていく。この積み重ねが、1万社という数字です。

系統別のランキング——八幡・伊勢神明・稲荷・天神

同じ神様を祀る神社は「系統」でまとめられます。あなたの近所の神社も、たいていこの10系統のどれかに当たるはずです。

順位系統社数
1八幡系10,064社
2伊勢・神明系7,550社
3稲荷系4,986社
4天満・天神系4,447社
5祇園・須佐系4,157社
6諏訪系3,497社
7熊野系2,889社
8三島・大山祇系2,779社
9白山系2,319社
10出雲・オオナムチ系1,963社

八幡・お伊勢さま・お稲荷さん・天神さま。名前を聞いたことがあるものばかりだと思います。上位4系統だけで2万7千社を超えます。

このランキングの読み方と限界

TOP20も系統別も、民間の祭神データベース「神社ファン」の集計値で、国の公式統計ではありません。数えているのは本殿の祭神だけで、境内社や摂末社は入っていません。稲荷社は屋敷神まで含めると2万5千社を超えるとも言われますが、それは数え方が変われば順位も動く、という範囲の話です。

ネット上の神社ランキングが記事ごとに違う数字を出しているのは、この「何を数えるか」がそろっていないからです。この記事の順位は、上に書いた集計方法での順位だと受け取ってください。

八百万の神 一覧——名前・読み方・司るもの

「天之御中主神」のような名前がずらりと並ぶと、見た瞬間に読む気が落ちますよね。ここからは名前の一覧です。

八百万の神々は、担当分野を持った役所の部署のようなものだと思うと、ぐっと頭に入ります。国土交通省があって、農林水産省があって、と分かれているのと同じで、山の担当、海の担当、火の担当がいるんです。分類はWikipedia「神(神道)」の類型を参考に、8つのブロックに分けました。

天の神(天津神)——造化三神

神名(読み)司るもの祀る代表神社記紀での登場
天之御中主神
(あめのみなかぬしのかみ)
天地開闢で最初に現れた根源の神東京大神宮ほか古事記 上巻冒頭
高御産巣日神
(たかみむすひのかみ)
国譲り・天孫降臨を主導高木神社ほか古事記・日本書紀
神産巣日神
(かみむすひのかみ)
生成・再生出雲大社の摂社ほか古事記 上巻

この3柱をまとめて造化三神と呼びます。物語にはほとんど出てこないのに、いちばん最初にいる神々です。

三貴子と国生みの神

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が国土を生み、伊邪那岐命が黄泉の国から戻って禊(みそぎ・水で身を清めること)をしたときに天照大御神・月読命・須佐之男命の三貴子(さんきし)が生まれた。これが古事記の流れです。

ここで、記紀の食い違いを一つ整理しておきます。食物の神が殺される場面が古事記と日本書紀の両方にあるのですが、古事記では須佐之男命、日本書紀では月読命が手を下します。同じ出来事が別の神の話として伝わっている。記紀を読み比べる楽しさは、こういうところにあります。

神名(読み)司るもの祀る代表神社記紀での登場
伊邪那岐命
(いざなぎのみこと)
国生み・神生み多賀大社・伊弉諾神宮古事記・日本書紀
伊邪那美命
(いざなみのみこと)
国生み、のちに黄泉の国花窟神社ほか古事記・日本書紀
天照大御神
(あまてらすおおみかみ)
太陽・高天原の主宰神伊勢神宮内宮古事記・日本書紀
月読命
(つくよみのみこと)
夜と月月読神社(伊勢)古事記・日本書紀(記述は少なめ)
須佐之男命
(すさのおのみこと)
海原・疫病除け八坂神社・氷川神社古事記・日本書紀

国の神(国津神)——大国主とその周辺

神名(読み)司るもの祀る代表神社記紀での登場
大国主神(おおくにぬしのかみ)国造り・縁結び出雲大社古事記
少名毘古那神(すくなびこなのかみ)医薬・温泉・穀物大洗磯前神社ほか古事記・日本書紀
建御名方神(たけみなかたのかみ)力・軍神諏訪大社古事記
事代主神(ことしろぬしのかみ)託宣・商売繁盛美保神社古事記・日本書紀

少名毘古那神は、小さな体でふらりと現れて大国主神と国造りを進め、終わると常世(とこよ・海の彼方の世界)へ去っていきます。正体は誰も知らないまま。この不思議さごと語り継がれてきた神様です。

自然そのものが神になった神々

神名(読み)司るもの祀る代表神社記紀での登場
大山祇神
(おおやまつみのかみ)
大山祇神社・三嶋大社古事記・日本書紀
綿津見神
(わたつみのかみ)
海神社ほか古事記
迦具土神
(かぐつちのかみ)
秋葉山本宮秋葉神社古事記
志那都比古神
(しなつひこのかみ)
龍田大社古事記・日本書紀
罔象女神
(みつはのめのかみ)
丹生川上神社古事記・日本書紀

山・海・火・風・水と、自然現象がそのまま神様の名前になっています。神社の名前に「山」「水」「風」が入っていたら、この系統を疑ってみてください。

人が神になった神々

神名(読み)司るもの祀る代表神社由来
菅原道真
(すがわらのみちざね)
学問太宰府天満宮・北野天満宮平安時代の実在の人物
誉田別尊
(ほんだわけのみこと・応神天皇)
武運宇佐神宮記紀に事績、のちに八幡神と同一視
神功皇后
(じんぐうこうごう)
安産・勝運住吉大社ほか日本書紀
日本武尊
(やまとたけるのみこと)
武勇大鳥大社ほか古事記・日本書紀
徳川家康
(とくがわいえやす)
東照大権現として神格化日光東照宮江戸時代の実在の人物

生きていた人が、没後に神として祀られる。日本の信仰のいちばん大きな特徴がここです。自然神と違って、信仰の理由が生前の功績そのものになっています。

道具や場所に宿る神——付喪神・かまど神

神名(読み)内容備考
付喪神
(つくもがみ)
長年使われた道具に魂が宿る総本社はなく、説話文学を通じて広まった民間伝承
かまど神
(こうじんさま)
台所と火を守る地域によって祀り方が違う民間信仰
厠神
(かわやのかみ)
トイレを守る記紀に記述はなく、各地に伝わる俗信

トイレにまで神様がいるの?と思うかもしれません。この3柱は記紀に直接の記述がなく、あとの時代に育った民間伝承です。記紀の神々とは、分けて考えてください。

日本に「悪い神様」はいるのか——荒ぶる神・祟り神の一覧

先に答えを書くと、記紀にも信仰の世界にも「悪役」という枠がありません。

本居宣長は『古事記伝』で「可畏(かしこ)き物を迦微(かみ)とは云ふなり」と書いています。畏れ多いものは、善悪に関係なくすべて神と呼ぶ。これが定義です。

「悪い神様」と呼ばれがちな存在をたどると、3つの違う系譜に分かれます。記紀に登場して禍(まが)や抵抗そのものを担う神、非業の死を遂げた実在の人物を鎮めるために神として祀った例、そして記紀に典拠がなく後の時代に育った民間信仰です。

2つめが御霊信仰(ごりょうしんこう)です。保元の乱で讃岐に流された崇徳天皇、朝廷に反旗を翻した平将門、左遷先で没した菅原道真は、まとめて日本三大怨霊と呼ばれます。桓武天皇の弟である早良親王(さわらしんのう)も、無実を訴えたまま流罪の途中で亡くなり、崇道天皇(すどうてんのう)という追号を贈られて神として祀られました。

神名(読み)内容祀る代表神社
崇徳天皇
(すとくてんのう)
保元の乱に敗れて讃岐へ配流。日本三大怨霊の1柱白峯神宮(京都)
平将門
(たいらのまさかど)
非業の死のあと、御霊として鎮められた武将神田明神
菅原道真
(すがわらのみちざね)
左遷後の死に続いて都に災いが起き、天神として祀られた太宰府天満宮・北野天満宮
崇道天皇
(すどうてんのう)
=早良親王
桓武天皇の弟。祟りを鎮めるために神として祀られた崇道神社(奈良)
大禍津日神・八十禍津日神
(おおまがつひのかみ・やそまがつひのかみ)
黄泉の穢れを祓う禊から生まれた、禍事を司る神【古事記】各地の祓いの神事で祀られる
天津甕星
(あまつみかぼし)=天香香背男
国譲りで最後まで従わなかった星の神【日本書紀】大甕神社(茨城)
八岐大蛇
(やまたのおろち)
須佐之男命に退治される八つ頭の大蛇【古事記・日本書紀】出雲の斐伊川流域に伝承地
疫病神・貧乏神
(やくびょうがみ・びんぼうがみ)
記紀に典拠はなく、節分の追儺などを通じて伝わった民間信仰【伝承・諸説】特定の総本社はなし

畏れて遠ざけるのではなく、丁重に祀って守り神に転じてもらう。これが御霊信仰の考え方です。同じ「悪い神様」という言葉でくくられていても、神話の中で禍を担う神と、記紀に出てこない民間信仰の神では、由来がまったく別なんです。

女神の一覧

天照大御神と伊邪那美命はすでに出てきたので、ここではそれ以外の代表的な女神を並べます。

神名(読み)司るもの祀る代表神社記紀での登場
木花咲耶姫
(このはなさくやひめ)
富士山・安産浅間大社古事記・日本書紀
市杵島姫命
(いちきしまひめのみこと)
財福・芸能厳島神社・宗像大社古事記・日本書紀
天宇受売命
(あめのうずめのみこと)
芸能・笑い椿大神社ほか古事記・日本書紀
豊受大御神
(とようけおおみかみ)
衣食住・産業伊勢神宮外宮日本書紀
瀬織津姫
(せおりつひめ)
祓い【伝承・諸説】各地に点在記紀本文にはなく、祝詞「大祓詞」に登場

八百万の神の相関図——誰が誰の親か

名前を覚えても、誰と誰がどうつながっているかは別の話です。文章で説明する前に、まず現物を見てください。

相関図

八百万の神の相関図。造化三神から伊邪那岐命・伊邪那美命、三貴子、大国主神、神武天皇までの系譜

天地開闢から三貴子まで

最初に造化三神が現れ、続く神世七代(かみよななよ)の最後に伊邪那岐命・伊邪那美命の夫婦神が登場します。この2柱が国生み・神生みを行い、伊邪那美命は火の神を産んだことが原因で亡くなります。伊邪那岐命が黄泉の国から逃げ帰って禊をしたときに生まれたのが、天照大御神・月読命・須佐之男命の三貴子です。

スサノオから大国主へ——出雲の系譜

須佐之男命は高天原を追われ、出雲で八岐大蛇を退治します。その系譜の先に生まれたのが大国主神で、少名毘古那神と一緒に国造りを進めたあと、天照大御神側からの国譲りの求めを受け入れて出雲に鎮まりました。

天孫降臨から神武天皇へ——皇室につながる線

天照大御神の子孫であるニニギノミコトが地上に降り立ち(天孫降臨)、その子孫にあたる神武天皇が初代天皇として即位した、というのが記紀の記述です。この系譜は記紀の物語としてのつながりで【伝承・諸説】、史実かどうかという話とは切り分けています。

そもそも「八百万」とは何柱なのか

八百万の神、と言いながら、その「八百万」を説明しているページは意外と少ないです。読み方から順に片づけていきます。

読み方は「やおよろず」、意味は「数えきれない」

「八百万」は「やおよろず」と読みます。800万柱という実数ではなく、数えきれないほど多い、という意味の言葉です。

江戸時代の国学者・本居宣長は『古事記伝』三之巻で「八百万は、数の多き至極(しごく)を云(い)へり」と書いています。

初出は古事記「天の岩戸」

「八百万の神」という言葉が最初に出てくるのは、古事記の「天の岩戸」の場面です。天照大御神が岩戸に隠れて世界が真っ暗になり、困った八百万の神々が天の安の河原(あめのやすのかわら)に集まって対策を練ります。

同じ場面が、日本書紀では「八十神(やそがみ)」という表現になっています。平安時代の『延喜式』巻八「六月晦大祓(みなづきのつごもりのおおはらえ)」にも、神々が集まって議したという記述があります。

現実の神社の数——全国80,709社

「八百万」の実感を、数字で確かめておきます。文化庁『宗教年鑑 令和5年版』によると、全国の神社は80,709社。全国のコンビニエンスストアの店舗数(約5万5千店)より多いんです。

日本だけの考え方なのか

あらゆる物事に霊魂が宿るという考え方(アニミズム)そのものは、世界各地にあります。イギリスの人類学者E.B.タイラーは『原始文化』(1871年)で、これを世界の宗教に共通する原初的な世界観として提唱しました【伝承・諸説】。

神道が変わっているのは、自然現象だけでなく道具や場所にまで神を見つける範囲の広さと、教祖も経典も持たない形で続いてきた点です。

英語での言い方

英語では “myriad gods”(無数の神々)や、直訳の “eight million gods” と紹介されます。学術的な文脈や観光の場面では、訳さずに “kami” と表記されることも多いです。GodとKamiは指している概念がそもそも違うので、1語では置き換えきれません。

神々の序列——朝廷が付けた「格」の話

神様に対しても、国が公式に「格」を定めていた時代がありました。ここは制度名と要点だけ押さえます。

神階・延喜式神名帳・近代社格制度の要点

神階(しんかい)は、神様に正一位などの位階を授ける制度です。延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)は927年に成立した、全国2,861社の官社(かんしゃ)の名簿。二十二社(にじゅうにしゃ)は畿内の特に重要な22社を指します。

近代社格制度は明治から1945年のGHQ指令で廃止されるまで続いた制度で、別表神社(べっぴょうじんじゃ)は戦後に神社本庁が指定した約350社以上の神社です。別表神社については、神社本庁に属さない神社一覧の記事もあわせてご覧ください。

格付けの正体——統治の都合で作られた区分

これらの格付けは、神様そのものの偉さの順位ではありません。中央集権体制を整えるうえでの必要から作られた、行政上の区分です。

有名な大社は初詣で人がひしめくのに、近所の氏神様(うじがみさま)はいつ通ってもがらんとしている。そういう光景を見ると、なんとなく申し訳ない気持ちになりますよね。ただ、社格は国が定めた仕組みであって、参拝する人と神様の関係を測るものではありません。

つむぎ所長

大きい神社も小さい神社も、格の話とご利益の話は別物です。近所の氏神様にも、ちゃんと手を合わせる価値がありますよ。

八百万の神が集まる神社と、調べるための本

年に一度、八百万の神が一堂に会するという言い伝えの残る場所があります。

神在月と出雲大社

旧暦10月になると、全国の神々が出雲に集まるという言い伝えがあります。だから出雲以外の地域ではこの月を神無月(かんなづき)と呼び、出雲だけは神在月(かみありづき)と呼びます。

古事記で八百万の神が天の安の河原に集まった場面と重ねると、この伝承がぐっと面白くなります。

神様を調べるのに向いている本

一覧表だけでは物足りない、1柱ずつもっと詳しく知りたい、という方には書籍が向いています。一覧性で選ぶなら図鑑形式、ご利益から引きたいなら事典形式です。

まとめ

「最強」に公式の答えはありません。それでも基準を決めれば、社数でいちばん多いのは応神天皇、記紀での地位がいちばん高いのは天照大御神、いちばん先に現れたのは天之御中主神と、答えははっきり出ます。

「八百万」は800万柱という実数ではなく、数えきれないほど多いという意味でした。名前も系統もバラバラに見える神々も、一覧と相関図に並べれば、役割とつながりが見えてきます。次に神社の前を通りかかったとき、「ここは何の神様だろう」と足を止める瞬間があれば嬉しいです。

あわせて読みたい

八百万の神ランキング

この記事が気に入ったら
いいねしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次