たけふりはらえの意味と出雲大社に伝わるという話を典拠で確かめた結果

たけふりはらえの7文字が光の粒子となって漂う様子と、実在する祓詞の文字が並ぶ図鑑風のイラスト
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「出雲大社に伝わる最強の言霊」

そんな説明とセットで、この7文字をSNSやショート動画で見た方、多いと思います。「たけふりはらえ」。気になって、検索窓に打ち込む。私も、最初は同じでした。

たけふりはらえは、悪縁や悪運を祓う言葉としてSNSで広まっている7文字の唱えことば。全文も、この7文字だけ。

調べてみてわかったことでですが、神社本庁の公式サイトにも、出雲大社の公式サイトにも、この言葉は見当たりませんでした。

出雲大社の公式サイト内検索で「たけふりはらえ」と打つと、ヒットは0件。

だからといって、唱えるなという話ではありません。

この記事は、公開されている資料とサイト内検索で確かめられたことと、確かめられなかったことを、出典つきで全部並べます。

唱えるかどうかは、読んだあとで自分で決めてください。それがこの記事の役目です。

目次

たけふりはらえの意味と7文字で完結する全文

答えは、「たけふりはらえ」の7文字そのものが全文です。

SNSでは、「悪縁を断つ」「悪運を祓う」言霊として紹介されているのがほとんど。声に出して唱えることで、身にまとわりついた良くない縁や流れを断ち切る、という説明がセットになっています。

そして、ほぼ必ずと言っていいほど、「出雲大社に伝わる」という枕つき。

ここで一度、正直に言っておきます。この枕を、出雲大社の公式資料の中に見つけることはできませんでした。

詳しくは、このあと「たけふりはらえが出雲大社に伝わるのかを公式で確かめた結果」で、公式サイトを実際に検索した結果まで見せます。

「全文」を探している場合の答え

「たけふりはらえ 全文」で検索してこの記事に来た方。答えは、7文字で全部です。

天津祝詞や龍神祝詞のように、この後に続く長い本文がある祝詞ではありません。もっと長い全文を探しているなら、たぶん探しているのは別の祝詞。

天津祝詞の全文ひらがなや龍神祝詞の全文は、それぞれ別記事で全文を扱っています。

「全文が無い」のは、この記事が書き漏らしているからではなく、そういう性質の言葉だからです。

「たけふりたまえ」との関係

「たけふり たまえ」で検索する方も一定数います。

調べると、「たけふりたまえ たけふりはらえ」と、2語をセットで唱える版がSNSに流れていることが分かりました。

ただ、なぜ2語がセットになったのか、いつからこの形が使われているのかは、確かめられませんでした。もともとの7文字に、後から言葉が足された版だろうと思います。

たけふりはらえの漢字表記が割れている理由

答えは、漢字表記そのものが定まっていないからです。

上位の記事を読み比べると、「猛振祓」と漢字を当てるサイト、「武・振り・祓え」と3語に分解して説明するサイト、あえて平仮名のまま通すサイトの3系統に分かれます。

私は最初、どれかが正解でどれかが間違いなんだろうと思っていました。でも、調べれば調べるほど、そもそも「正解」を決める資料自体が無いことが分かってきました。

表記・分解どう説明されているか
猛振祓漢字1語として当てるサイトの表記
武・振り・祓え3つの言葉に分けて説明するサイトの表記
ひらがなのまま漢字を当てずに通すサイトの表記

SNSには、「たけ」はタケミカヅチ(建御雷神)のことだ、という説明も流れています。

紹介されている「説」として書いておきますが、この説を古典の記述にまでさかのぼって裏づけている記事は、見つかりませんでした。

建御雷神の別名との響きについて

建御雷神には、『古事記』に「建布都神(たけふつのかみ)」という別名が記されています。石上神宮の御祭神・布都御魂ともつながる名前です。響きは、たしかに近いです。

でも、この別名が「たけふりはらえ」の語源になった、と書いている資料は、私が探した範囲では見つかりませんでした。

つまり「たけ」の正体は、武・猛・建・竹のどれなのか、決め手になる資料がまだ無い、というのがいまの状況です。表記が割れていること自体が、この語がまだ新しいことの手がかりになっています。

たけふりはらえが出雲大社に伝わるのかを公式で確かめた結果

答えは、出雲大社の公式資料の中には見当たらない、です。

神社本庁が挙げる唱えことばは2つだけ

神社本庁が公式サイトで挙げている唱えことばは、次の2つです。

「祓え給い、清め給え、神ながら守り給い、幸え給え」

「吐普加美依身多女(とおかみえみため)」

この2つだけ。たけふりはらえは、載っていません。

出雲大社に定められている唱えことばは「神語」

では出雲大社は何も唱えことばを持っていないのかというと、そうではありません。

出雲大社教の分院である出雲大社埼玉分院の公式サイトによると、だいこくさまへの感謝と守護を祈る言葉として、「幸魂(さきみたま) 奇魂(くしみたま) 守給(まもりたまひ) 幸給(さきはひたまへ)」という「神語(しんご)」が定められています。

この言葉を書き写す「神語奉書」という行いも案内されています。

これが、出雲大社の教えの中で公式に位置づけられている唱えことば。たけふりはらえとは、別の言葉。

出雲大社の公式サイトで検索してみた結果

ここが、私がいちばん驚いたところ。

出雲大社公式サイトの検索窓に「たけふりはらえ」と入れてみました。結果は、0件。

念のため、検索そのものが動いているかを確かめるために、「祓」でも検索してみました。こちらは、夏越の大祓・清祓・先祓いなど、20件以上ヒット。検索窓はちゃんと働いています。

動いている検索で0件、というのが、確かめられた事実です。

つむぎ所長

デタラメだと決めつける気はないんです。でも、「公式サイトの検索で0件」は、さすがに調べた身として黙っておけませんでした

たけふりはらえと実在する唱えことばを並べた対照表

言葉で説明するより、並べたほうが早いです。たけふりはらえと、公式に定められている唱えことばを、1つの表にまとめました。

唱えことば(冒頭)定めている団体・出典
たけふりはらえ確認できず。
SNS・個人発信で広まった言葉
祓え給い、清め給え…神社本庁公式サイト
吐普加美依身多女…神社本庁公式サイト
幸魂 奇魂 守給 幸給…出雲大社教(神語)公式サイト
布留部 由良由良と布留部…石上神宮(十種祓詞)

見てのとおり、たけふりはらえだけ、「定めている団体・出典」の欄が埋まりません。

石上神宮の十種祓詞(とくさのはらえことば)「布留部(ふるべ)由良由良(ゆらゆら)と布留部」は、毎日の朝拝で実際に唱えられている言葉。「振って祓う」という発想そのものは、神道の中にちゃんと実在します。

この言葉については、ひふみ祝詞は危険?で詳しく扱っているので、気になる方はそちらへ。

天津祝詞や龍神祝詞、稲荷祝詞のような、もっと長い全文が知りたい場合は、それぞれ天津祝詞の全文ひらがな、龍神祝詞の全文、稲荷祝詞の全文の記事で確認してください。

たけふりはらえの唱え方と回数の出どころ

唱え方の答えは、静かな場所で、声に出して、3回唱えるという形が広まっています。

目を閉じて呼吸を整え、7文字をゆっくり声に出す。これが、広まっている唱え方の基本形です。

なぜ3回なのか

「3回」「奇数回」という数字は、ほぼ全ての紹介記事に共通して出てきます。

でも、この数字の根拠を探すと、「古来より3という数字は」「奇数がよいとされる」という一般論で止まっている記事ばかり。

神社本庁の唱えことば(前に挙げた2つ)にも、公式サイトのページに回数の指定はありません。

つまり、「3回」は広く定着した慣習ではあっても、出典のある決まりごとではない、というのがいまの状況です。

回数に決まりが無いことをどう受け取るか

決まりが無い、ということと、間違っているという意味は同じではありません。

好きな回数で唱えても、罰則があるという話にはなりません。

ただ、「3回でなければ効果が無い」というような言い方をしている情報を見かけたら、それは出典のない話だと思って読む。そのくらいの距離感で受け止めておくのがちょうどいいと思います。

たけふりはらえをいつ唱えるとされているか

答えは、朝・夜・嫌なことがあった直後の3つの場面です。

紹介されている場面は、だいたいこの3つに分かれます。1日の始まりの朝。1日の終わりに流す夜。そして、嫌なことがあった直後。

決まった時間があるわけではないので気持ちを切り替えたいタイミングで唱える、という使われ方です。

神道の「節目の祓」との違い

神道の実際のお祓いは、こうした個人の気分転換とは少し違う位置づけです。

出雲大社の夏越しの大祓や、小國神社の大祓は、6月と12月という決まった時期に行われる、節目の神事。

半年間にたまった罪や穢れを祓う、というのが本来の意味合いです。

個人が日常で唱える言葉には、こうした時期の決まりはありません。「たけふりはらえ」も、神道の大祓と同じ時期に唱えなければいけない、という縛りは特にないようです。

たけふりはらえの効果として語られていること

答えは、悪縁や悪運を断つ言葉として語られています。

効果として語られている内容

調べたかぎり多くが挙げているのは、「悪縁を断つ」「悪運を祓う」という説明。加えて、唱えたあとに「気持ちが切り替わる」という、心理的な変化に落ち着いた言い方でした。

つまり、「唱えると運が良くなる」という約束の言葉ではなく、「気持ちの切り替えのスイッチ」として紹介されている、というのが実際に近い姿です。

言葉を声に出すことの文化的な裏づけ

これは断言していい話。

声に出した言葉には力が宿る、という考え方(言霊)は、神道が古くから大事にしてきた文化的な土台です。

「たけふりはらえ」がその古い体系の中にある言葉かどうかは確かめられませんでした。でも、「言葉を声に出すこと」自体を大事にする文化は、実在します。

効果を保証はできません。でも、声に出すという行為そのものに文化的な裏づけがあります。

たけふりはらえの待ち受け画像と口コミが増えた背景

答えは、文字を画像にして待ち受けにする使われ方が広がっているからです。

「たけふりはらえ」の7文字を、和柄の背景などと組み合わせて画像にし、スマホの待ち受けにする使い方がSNSで見られます。

「知恵袋」「口コミ」で検索されている理由

「たけふりはらえ 知恵袋」「たけふりはらえ 口コミ」という検索も、一定数あります。

私は、この検索が立っていること自体に意味があると思っています。「本当なの?」と、人に聞きに行く動きが起きているということだからです。この記事のここまでの内容が、その「本当なの?」への一つの答えになっていればと思います。

待ち受けにすること自体の良し悪しについては、神社の待ち受けは良くない?で別に整理しているので、気になる方はそちらもあわせて読んでみてください。

振って祓うという発想が神道に実在する証拠

答えは、「たけふりはらえ」という語そのものは確かめられなくても、「振って祓う」という発想は神道に確かに実在します。

石上神宮では、十種祓詞(とくさのはらえことば)「布留部(ふるべ)由良由良(ゆらゆら)と布留部」が、毎日の朝拝で唱えられています。神職が大麻(おおぬさ)を振ってお祓いをする所作も、多くの神社で見られる作法です。

6月と12月の大祓で行われる茅の輪くぐりも、身についた穢れを祓うための神事。「振る」「くぐる」といった動作で祓うという発想は、神道の中に古くからあるものです。

布留部・十種祓詞については、ひふみ祝詞は危険?で、石上神宮が毎日唱えている祝詞として詳しく扱っています。

つむぎ所長

「振って祓う」という発想自体は、由緒ある神事にちゃんとあるんですよね。たけふりはらえという名前だけが、公式の資料の中に見つからなかった、というのが正確なところです

たけふりはらえを唱えてよいのかの判断材料

答えは、唱えてはいけない理由は見つからなかった、です。

神社本庁も出雲大社も、「唱えてはいけない言葉」のリストを出していません。「たけふりはらえ」は祓いを願う意味の通る7文字で、誰かを害する内容も含まれていません。

「出雲大社に伝わる古い言葉」として、誰かに紹介するのは、いまの時点では根拠がありません。自分の中で唱えることと、由来つきで人に伝えることは、別の話として分けておいたほうがいいと思います。

お金や健康の判断を、この言葉に預けないでください。唱えたから病院に行かなくていい、唱えたから契約していい、という使い方はしないこと。

由来がはっきりした言葉を唱えたいなら、選択肢はあります。神社本庁の唱えことば、出雲大社の神語、石上神宮の布留部。

どれも、この記事の中で出典つきで紹介した言葉です。上の対照表に戻れば、いつでも見つかります。

「唱えてはいけないのか」という不安そのものについては、天津祝詞は唱えてはいけないのかでも別の言葉について同じ形で整理しています。あわせて読むと、判断の軸がもう少しはっきりすると思います。

たけふりはらえの7文字が光の粒子となって漂う様子と、実在する祓詞の文字が並ぶ図鑑風のイラスト

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